そして、石は
ひつじになる。
そして、石はひつじになる。

自然の中で、妊婦さんと赤ちゃん、
そして、家族が歩く「妊婦さんウォーク」が月に一度、平尾台で開催されています。


自然のリズムに身をゆだねながら
からだに備わっている「生む力」を
思い出す時間。

助産師と保育士と平尾台ガイドの3人に見守られながら、今回はひつじカフェから森へ抜けるコースを同行取材しました。

歩くことからはじまる、
やさしい出産とからだの物語です。

妊婦さんこそ、
自然の中を歩こう!

── なぜ妊婦さんウォークを始めたのですか?

助産師 ともこさん
妊娠中って、どれだけ運動したり動いていいのかわからないですよね。初めての妊娠だと周りも心配したりして、家にこもりがちになります。でも、カラダが元気だったら妊娠中は体を動かした方がいいんです。1番簡単な運動は歩くこと!かなと思います。自然の中で五感を使ってカラダや赤ちゃんに意識を向けることのできる場所はないか探していた時に、平尾台が浮かびました。なだらかな道が多く、妊娠初期でも後期でも無理なく歩けます。

平尾台の集落から歩きはじめ、森を抜けて高原へ向かいます。傾斜はほとんどないルートです。
赤ちゃんはお母さんとスタッフで交代しながら順番に抱きかかえます。
大人も子どもも互いを見合いながらゆっくりと歩きます。子どもも自然も移ろっていく姿を見守る。
赤ちゃんにとってのおんぶは、健やかな発育に繋がります。揺れは心地がいいんです。
保育士さんもいるので子どもも安心して過ごせます。過度な制限をせず、子の意思を尊重するのが大切。
子どもは、みんなで見守り育てる存在。自然の中で、のびのびと。

── 妊婦さんが山を歩いても大丈夫、というのは正直驚きました。

ともこさん
最近、産む力が弱くなっていると感じます。その理由に、欧米化した生活や食事、歩かないこと。あとは、SNSの情報過多などがあります。思春期に骨盤が十分発達しないことで、お腹の中の赤ちゃんが動けるスペースが狭くなったり、お産の時の骨盤の動きが悪かったり、産道が歪んでいたりしています。スムーズに出てこれず、医療介入が多くなりました。生まれた赤ちゃんの体の歪みや発達にも影響しています。陣痛が長引いてお産がスムーズに進まないこともあります。逆に言えば骨盤の歪みがなく、体が熱を産んでいると、陣痛の痛みを感じずにスルッと赤ちゃんが生まれてきます。

SNSで情報を集めたり、頭をよく使う人ほど、「頭で出産しよう」としてしまう。出産は”感覚的なもの”だと思うんです。頭でばかり考えると、予想してなかった状況にパニックになることも。陣痛は、気持ちがリラックスしてゆったりしている時にくるので心がけで欲しいです。

先輩のお母さんたちも参加しているので、出産の話や子育ての話も相談できます。
出産って不安になることが多いものです。みんなが「きっと、大丈夫だよ」と言ってくれるのは心強いです。

骨盤と生理の、いい関係

女性のカラダは生理のリズムの中で骨盤が締まったり、緩んだりを繰り返しています。お産の練習を毎月しているのです。排卵に向かって締まり、生理に向かって緩む。食べるものにもよりますが、骨盤の動きがスムーズだと生理3日くらいで終わる人もいますよ。

ーー私、最近生理が3日で終わるようになりました。山歩きを始めて5年くらい経って、食べ物も少し意識するようになったからかもしれません。

ともこさん
それは、カラダが整ってきているサインかもしれないね。くさみ自然農園では、食べるものの育ち方が大事だと思って農薬や肥料を使いません。食の質や食べ過ぎないことを大事にしています。人のカラダは基本的に取りすぎや不要なものは「出す」ようにできているから。

ーー子宮からも、排出しているんですね。

保育士のまゆみさん
そう。だから深呼吸がすごく大事。 呼吸が浅いと、不要なものだけじゃなく、感情まで溜まってしまう。子宮は感情と強くつながっているから、溜め込みすぎると生理痛が重くなったり、量が増えたりするんです。

ともこさん
これもホロソフィー®︎を勉強して知ったのですが、子宮は夜はお休みするもの。陣痛が夜休んでいる時、副交感神経が優位になっている時にくるように、夜に経血がたくさん出るのは、実はカラダの仕組みからするとズレているサインなのです。

── 夜に多いのは、異常なんですか?

ともこさん
「ちょっと無理してるよ」って、体が教えてくれているんだと思います。 本来は、締めてコントロールして、トイレで出す力があるんです。昔の女性は腰巻だけで生活していたくらい。布ナプキンを使うと、出血の感覚がよくわかります。「今月は食べすぎたかな」って、体の声を聞くきっかけにもなりますよ。

出産と発育がしやすい世の中へ。

ともこさん
女性が"産む"ということを考える時に、どこで、誰と、どんな風に産むか選択できる方法が北九州市は少ないと思います。現実に唯一自宅で出産していた助産院も3年前になくなりました。また、お産が保険適用になりますがどこまで含まれるかも今問題となっています。
さらに、産後のアフターケアが行き届かないのも現状です。どこで産むかはひとまず置いておいて、妊娠中から地域の助産師と関わったり、産む場所以外にも頼るところはあるということを知って欲しいです。核家族化が進む中、ひとりでママたちはどうすればいいかわからず、懸命に子育てに向き合っています。一生懸命なあまり、産後うつにもなりやすいです。

そこで3年前に、わたしもくさみ助産院を開業しました。お産は取り扱ってはいませんが妊娠中からお産後まで継続したケアを目指しています。

場所はくさみ自然農園内にあるお家です。出産後のお母さんの心とカラダを整え、安心して子育てを始めるためのサポートです。休息や相談の時間を通してゆっくりごはんを食べてもらったり、カラダを癒したり、見守ることも大切にします。

ーーともこさんは出産の後のフォローを。まゆみさんはその先ですよね?

まゆみさん
最近「わが子の発達研究会」をはじめました。幼児を対象に平尾台の豊かな自然で月に一回過ごします。自分で遊ぶことができなくなっている子が最近目立ちます。おもちゃも何にもないところで遊んで欲しいです。

ともこさん
今の子どもたちは、すぐにゲームっていいます。「Wi-Fiがない、たいくつ、帰ろう」って。こんな大自然があるのに、なんで退屈なんだろうっておもっちゃいました。 とりあえず、スマホ渡しちゃうお母さんが多いんよね。

まゆみさん
そこのバランスが崩れていると思うんです。全く見せないっていう生活は理想だけど、それは難しいから、見せてもメリハリをつけてね。人間は右脳から育つんだけど、左脳ばかり育てるので、想像力が固まってしまったお子さんが多いです。頭のいいことは言えるけど、実体験がないままに育つ。感覚器官や前庭器官などが、十分に育っていないと人とのコミュニケーションや地頭を使って何かをするという部分が発揮されないんです。「山で石を何かに見立てる」「自分の身体を使って遊ぶ」ができる機会を一緒につくっていけたら嬉しいです。

ーー最後に、一言どうぞ!

ともこさん
お母さんの安心が、赤ちゃんの安心へとつながるので、ぜひ一度、平尾台に来て欲しいです。開催日以外もくさみ農園で相談に乗っていますから、気軽に連絡して欲しいです。

まゆみさん
月に一度、山で子どもと一緒に発育のことを考える。子育てをしていると、なかなか時間がありませんが、未来を考えるととても大切なことです。平尾台でともこさんと、あかねさんと、そして自然と共に、お待ちしています!

(※取材当日、あかねさんは不在でしたが、妊婦さんウォークでは山のガイド担当として同行します。)

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